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町の役割 ― 踊町・年番町・神輿守町。長崎くんちを支える町のしくみ

更新:2026年10月10日

長崎くんちは、踊りを見せる町だけで動いているわけではありません。
1年を通して祭りの世話をする町、神輿(みこし)を担いで神様をお運びする地区があり、それぞれが順番に役を受け持っています。
このページでは、踊町・年番町・神輿守町の3つの役割と、10月7日から9日までの3日間の動きを、初めての人にも分かるように整理します。

この記事は、運営者が内容を確かめている途中の下書きです。町や家によって違う作法・金額などは、確かめたうえで直していきます。

まず全体図 ― くんちを支える3つの役割

長崎くんちは、長崎の氏神(うじがみ。土地を守る神様)である諏訪神社の秋の大祭です。
寛永11年(1634年)に始まったと言われ、奉納踊(ほうのうおどり)は昭和54年(1979年)に国の重要無形民俗文化財に指定されています。

祭りを支える町や地区の役割は、大きく3つに分かれます。

役割 読み 何をするか 回ってくる間隔
踊町 おどっちょう(長崎の人はこう呼びます。「おどりちょう」とも読みます) 傘鉾(かさぼこ)と演し物(だしもの)を神様に奉納する 7年に1度
年番町 ねんばんちょう 1年間、氏子(うじこ)の代表として神社の祭事と祭りの運営を支える世話役 踊町の4年後(次の踊町の3年前)
神輿守町 みこしもりちょう お下り・お上りで三基の神輿を担ぎ、守る 6年に1度

踊町と年番町は、長崎の中心部の町々が7つの組に分かれて受け持ちます。
神輿守町は、それとは別に、昔の長崎村の郷(ごう。村の中の地区)の人たちが受け持ちます。
「踊る町」「世話をする町」「神輿を担ぐ地区」が別々に順番を回しているのが、長崎くんちのしくみの大きな特徴です。

踊町 ― 7つの組が7年に1度

小屋入りの日、諏訪神社に参拝した踊町の人たち

小屋入りの日、諏訪神社に参拝した踊町の人たち(写真:運営者)

庭見せに飾られた傘鉾と御花

庭見せに飾られた傘鉾と御花(写真:運営者)

踊町は、その年に奉納踊を披露する当番の町です。
長崎伝統芸能振興会のミニ辞典では58か町が7つの組に分かれているとされ、1つの組が1年を受け持つので、同じ町の出番は7年に1度です。
すべての演し物を見るには7年通う必要がある、と言われるのはこのためです。

踊町は、町の名前を書いた傘鉾を先頭に立て、龍踊(じゃおどり)・川船・コッコデショ・本踊などの演し物を奉納します。
傘鉾は重さ130〜150kgほどあり、心棒のいちばん下に一文銭を2,500〜3,000枚結び付けて釣り合いをとっています。

7つの組と、次に踊町・年番町になる年は次のとおりです(Wikipedia の一覧による)。

組 主な町 踊町 年番町
清明会(せいめいかい) 今籠町・油屋町・元船町・上町・鍛冶屋町・筑後町 など 2026年 2030年
昭平会(しょうへいかい) 馬町・築町・八坂町・東濵町・銅座町 など 2027年 2031年
北斗会(ほくとかい) 紺屋町・東古川町・出島町・本古川町・大黒町・椛島町・小川町 など 2028年 2032年
八尋会(やひろかい) 今博多町・籠町・魚の町・江戸町・玉園町 など 2029年 2033年
神清会(しんせいかい) 桶屋町・丸山町・船大工町・万屋町・本石灰町・栄町 など 2030年 2034年
七和会(しちわかい) 興善町・万才町・五嶋町・麹屋町・八幡町・西濵町・銀屋町 など 2031年 2035年
常磐会(ときわかい) 金屋町・西古川町・諏訪町・榎津町・新大工町・賑町・新橋町 など 2032年 2036年

2026年は清明会の6か町(上町・油屋町・元船町・今籠町・鍛冶屋町・筑後町)が踊町を務めました。
今、踊町として演し物を出す町は42か町です(長崎くんちフォーラムによる)。
順番が回ってきても、費用や人手の事情で奉納を見送る町もあります。

年番町 ― 1年を通した祭りの世話役

年番町は、諏訪神社の1年間の祭事に、氏子の代表としてかかわる町です。
踊町を務めてから4年後に回ってきます。
言いかえると、次に自分たちが踊町になる3年前です。

主な仕事は次のようなものです。

  • 6月1日の小屋入り(こやいり)から始まる祭事に参列し、会議を運営する
  • 諏訪神社やお旅所の踊場(おどりば)に詰めて、神事に奉仕し、奉納踊の進行を取り仕切る
  • お下り・お上りの神輿行列に加わり、行列の人(従列人)を出す
  • 踊場の整備、名簿の確認、学校への説明などの裏方の仕事

2026年の年番町は八尋会で、今博多町・魚の町・玉園町・江戸町・籠町・古町・勝山町・桜町の8か町でした。

年番町の仕事は、10月の3日間だけではありません。
長崎くんちフォーラム(長崎くんち研究会)の「年番町」のページによると、1年はおおよそ次のように進みます。

時期 年番町がすること
毎月1日 諏訪神社の月次祭(つきなみさい)のお清めに、各町から2人以上が参列。1月・6月・10月は全町が紋付袴で
6月1日 小屋入り。拝殿で踊町のあいさつを受け、午後は町事務所に町旗を立てて、踊町の打ち込みを迎える
1〜2か月おき 年番町どうしの打合せ会(年に5回ほど)。諏訪神社・年番町・踊町の三者の協議会も開く
9月下旬 神社から行列の衣装を受け取り、子どもと保護者が着付けを習う
10月3日 従列人数揃(じゅうれつにぞろい)。行列に出る人が本番の衣装でお清めを受け、本殿の周りを一周する
10月7〜9日 踊場の運営、神輿行列のお供、お旅所の警備
12月1日 新旧の年番町・神輿守町・踊町の引き継ぎ

本番の3日間の役目は、大きく3つです。

  • 踊場の運営:諏訪神社とお旅所の踊場で、踊町の入退場と時間を取り仕切る。1町の持ち時間はおよそ30分と決められていて、時間を計る係が大切です。前日の朝、諏訪神社で一番町の傘鉾を扇子で招き入れる「招き入れ」も、年番町の幹事町の役目です
  • 神輿行列のお供(従列供奉):3組に分かれて諏訪・住吉・森崎の三基の神輿にお供します。神社から衣装が渡される正式な役「本役」(随身・翳〈さしは〉・大太刀・小太刀・弓・旗・汐汲み)と、町内の希望者が自前の衣装で加わる「飛入り」があり、飛入りの子は男の子を矢五郎(やごろう)、女の子を汐汲み(しおくみ)と呼びます
  • お旅所の警備:神様がお旅所にいる間、紋付袴の2人一組が交代で詰めます。夜11時から翌朝までは、翌年の神輿守町が受け持ちます

演し物を出さずに年番町だけを務める町もあります。
たとえば2024年は昭平会の築町・銅座町・東濵町・八坂町・馬町・広馬場町の6か町が年番町で、このうち広馬場町は演し物を奉納していない町です。
年番町は表に出ることは少ないものの、くんちを「祭り」として成り立たせている、いわば事務局です。

神輿守町 ― 神輿を担ぎ、守る地区

神輿守町は、お下りとお上りで神輿を担ぎ、守る役です。
昔は、長崎村の各郷の人たちが神輿を担ぎ、村の庄屋や郷の乙名(おとな。地区のまとめ役)が周りを守っていました。
それ以来、神輿守は各郷が順番に受け持っていて、今は6年に1度回ってきます。

いまは昔の郷ごとに、6つの神輿守の会が順番に受け持っています。

年 神輿守町 主な地区
2026年 伊良林神輿守町連合会 伊良林・矢の平・風頭・中川・鳴滝・本河内・桜馬場 など
2027年 立山・片淵・木場・夫婦川神輿守 立山・片淵・木場・夫婦川
2028年 西山神輿守連合会 西山 一帯
2029年 十善寺地区神輿守奉賛会 稲田・館内・中新・十人
2030年 神輿守小島連合会 小島・桜木
2031年 高野平神輿守連合会 愛宕・高平・白木・弥生

2026年の伊良林神輿守町連合会は、9年ぶりの担当でした(6年の回りに、中止の3年が加わったため)。
地区を3つに分け、諏訪・住吉・森崎の三基をそれぞれの地区が担ぎます。
神輿は1基およそ500kgあり、6月ごろから走り込みや土のうを担いでの稽古を重ねて本番に備えます。

三基の神輿 ― 諏訪・住吉・森崎

神輿

神輿(写真:運営者)

諏訪神社には、諏訪・森崎・住吉の三つの神様がまつられています。
お下りとお上りでは、それぞれの神様が一基ずつ神輿に乗り、三基そろって行列をつくります。

古い記録では、お旅所へ渡る神輿は初め諏訪と住吉の二基で、宝永2年(1705年)に森崎の神輿が初めて加わったとされています。

神輿を担ぐ人たちは、神輿を大きく揺らしながら一気に走る「もりこみ」を行います。
神様の力を高める(よみがえらせる)ためと言われ、特に県庁坂を駆け下り、駆け上がる場面は、くんちの見せ場の一つです。

3日間の流れ ― お下り・中日・お上り

くんちの3日間は、前日(まえび)・中日(なかび)・後日(あとび)と呼ばれます。
神様は前日にお旅所(おたびしょ)へ下り、後日に諏訪神社へ戻ります。
お旅所は、大波止(おおはと)に設けられる仮の宮です。

日 主なこと
10月1日ごろ 事始(ことはじめ)神事と、神輿を担ぐ人たちのお清め
10月6日 神輿出し。神輿を蔵から拝殿へ運び出す
10月7日(前日) 早朝に神様を神輿に移す神事。朝から踊町が諏訪神社・中央公園・お旅所で奉納。午後1時にお下り。三基の神輿が諏訪神社からお旅所へ。後ろに踊町の傘鉾が続く(傘鉾パレード)
10月8日(中日) 神様はお旅所にとどまる。踊町は八坂神社・中央公園などで奉納し、町なかの庭先回りも
10月9日(後日) 踊町がお旅所・諏訪神社で奉納。午後1時にお上り。三基の神輿がお旅所から諏訪神社へ戻り、石段を一気に駆け上がって祭りを締めくくる

この流れの中で、3つの役割はこう重なります。

  • 踊町:3日間、決まった順番で踊場を回り、その合間に町なかで庭先回り
  • 年番町:踊場の進行を支え、お下り・お上りの行列に加わる
  • 神輿守町:お下り・お上りで神輿を担ぐ

お下りの日には、沿道で神輿の下をくぐって願い事をする人の姿も見られます。

よく聞く言葉

言葉 意味
一番町(いちばんちょう) その年の奉納の順番で最初に踊る町。ふつうは前日の朝、諏訪神社でいちばん初めに踊る町を指します。2026年は今籠町でした。日によって回る順番は変わります
幹事町(かんじちょう) 組の中で取りまとめ役を務める町。年番町の年にも、その組の幹事町が中心になります
踊場(おどりば) 奉納踊を披露する場所。諏訪神社・お旅所・八坂神社・中央公園の4か所が中心です。「踊馬場(おどりばば)」とも言います
長坂(ながさか) 諏訪神社の踊場の正面にある石段。無料の観覧席になり、整理券の抽選があります
庭先回り(にわさきまわり) 踊町が会社や店、家の前で踊りやお囃子を披露して回ること
小屋入り(こやいり) 6月1日。踊町の人たちがお清めを受け、この日から稽古に入ります
傘鉾パレード お下りの行列に続いて、その年の踊町の傘鉾がそろって進む行事

2020〜2022年の中止と、順番のずれ

2020年から2022年までの3年間、新型コロナウイルスの感染拡大のため、奉納踊と神輿行列は中止になりました。
奉納踊の中止は1988年以来のことです。
2023年に4年ぶりに通常どおり開かれました。

このとき、順番は「飛ばす」のではなく「後ろへずらす」形がとられました。
2020年に踊るはずだった組が、2023年に踊町を務めています。
そのため、踊町の前回からの間隔は10年になりました。

  • 2026年の清明会(上町など)は、前回が2016年で、10年ぶり
  • 2019年に踊った八尋会は、次が2029年
  • 神輿守町も同じようにずれ、2026年の伊良林は9年ぶりの担当

古い資料やネットの記事にある「〇年は△△町」という予定は、中止前のものだと3年ずれていることがあります。
今の順番は、長崎伝統芸能振興会の「踊町と演し物」のページで確かめるのが確実です。

よくある質問

自分の住む町が踊町かどうか、どうやって分かりますか?

長崎伝統芸能振興会のサイトの「踊町と演し物」に、組ごとの町と来年以降の予定がのっています。
ただし、今の町名とくんちの町の範囲がぴったり重ならないこともあるので、迷ったら自治会に聞くのが確実です。

踊町に住んでいないと、くんちに関われませんか?

いいえ。
見物はもちろん、庭先回りを受けたり、御花(おはな。お祝い)を出したりと、関わり方はいろいろあります。
担ぎ手を広く募る町もあります。
どこまで町外の人が加われるかは町によって違うので、その年の踊町に問い合わせてください。

年番町の年は、何もしなくてよい年ですか?

むしろ忙しい年です。
踊りは奉納しませんが、6月の小屋入りから祭りの終わりまで、神社の祭事や会議、踊場の運営、神輿行列のお供など、裏方の仕事を1年通して受け持ちます。

神輿守町は、踊町と同じ町ですか?

別のしくみです。
踊町・年番町は中心部の町々が7つの組で受け持ち、神輿守町は昔の長崎村の郷にあたる地区が6年に1度受け持ちます。

お下りやお上りは、どこで見られますか?

お下りは10月7日、お上りは10月9日の、どちらも午後1時からです。
諏訪神社からお旅所(大波止)までの道すじで見られ、県庁坂のもりこみや、お上りで石段を駆け上がる場面は特に人気があります。
道すじと交通規制は、その年の案内で確かめてください。

神輿の下をくぐってもいいのですか?

お下りの沿道では、神輿の下をくぐって願い事をする人が見られます。
ただ、神輿は約500kgあり、担ぎ手は走っています。
係の人の案内に従い、無理に近づかないようにしましょう。

雨の日はどうなりますか?

順延するかどうかは、その日の朝、年番町・神輿守町・踊町・諏訪神社の代表が集まって決め、午前4時ごろに発表されます。
長崎くんちフォーラムによると、昔からの習わしは次のとおりです。

  • 10月7日(お下りの日)が雨:3日間がそのまま1日ずつ後ろへずれる(8・9・10日)
  • 10月8日(中日)が雨:日程は変えない。中日に回るはずだった踊場は、後日の分に組み込まれる
  • 10月9日(お上りの日)が雨:午後から晴れればお上りだけ行い、奉納踊がなくなることもある

ただ、近年は話し合いで変則的な開き方をすることもあります。
当日は長崎伝統芸能振興会のサイトで確かめてください。

一番町は、どうやって決まるのですか?

奉納の順番の決め方は、このページでは確かめきれていません。
順番は日ごとに変わり、毎年の披露時刻の案内で発表されます。

参考にした情報