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庭先回り(にわさきまわり)の楽しみ方 ― 街なかで出会う、無料で間近のくんち

更新:2026年10月10日

長崎くんちの3日間、踊町(おどっちょう)は諏訪神社などで奉納を終えると、街へ出て店や会社、家の前で演し物を披露して回ります。
これが「庭先回り」です。
チケットがなくても、すぐ目の前でくんちに出会える楽しみ方を、意味・見つけ方・マナー・掛け声の順にまとめました。

この記事は、運営者が内容を確かめている途中の下書きです。町や家によって違う作法・金額などは、確かめたうえで直していきます。

庭先回りとは

浜町アーケードでの庭先回り(本石灰町・2023年)

浜町アーケードでの庭先回り(本石灰町・2023年)(写真:運営者)

庭先回り(にわさきまわり)は、その年の当番の町=踊町が、市内の事業所や官公庁、お店、家々を訪ねて、短い踊りやお囃子を披露する行事です。
長崎では「庭を打つ」と言うこともあります。

意味は、ひとことで言えば「お祝いとお礼」です。

  • 町を日ごろ支えてくれている所に、敬意を込めて演し物を呈上(ていじょう)=差し上げる
  • くんちの福を、街の人たちにおすそ分けする
  • くんちを応援してくれる人たちへ、町からのお祝いの報告をする

振興会のコラムは、庭先回りは家々を回って芸を見せてお金をもらう「門付け(かどづけ)」とは違う、と説明しています。
演し物を受けた側は、そのお礼として御花(おはな)を町へ届けます。
くんちでは、お祝いもお礼もすべて「御花」と呼び、「ご祝儀」とは言いません。

数もたくさんです。
振興会のコラムによると、3日間で回る先は、曳物(ひきもの・船などを曳く演し物)で1500〜2000か所、本踊(ほんおどり・日本舞踊)では2000〜3000か所近くにもなるそうです。

いつ・どこを回るのか

庭先回りは、くんちの3日間(10月7日〜9日)の毎日行われます。

日 呼び名 庭先回りの流れ
10月7日 前日(まえび) 諏訪神社・お旅所などで奉納したあと、街へ
10月8日 中日(なかび) 八坂神社・中央公園などで奉納したあと、街へ
10月9日 後日(あとび) 奉納の合間をぬって、街を回る

庭先回りは、本場所(ほんばしょ)と呼ばれる奉納の会場の合間に組み込まれています。
振興会が出している予定表を見ると、朝9時ごろから夜20時ごろまで、本場所の時刻をはさみながら一日じゅう街を動いています。

回る範囲は、自分の町の中だけではありません。
浜町や銅座、思案橋、新地中華街のあたりから、長崎駅前、県庁や市役所の周り、病院、銀行、テレビ局、小学校の近くまで、市の中心部を広く回ります。
戦前は西山から浪の平町まで回ったという記録もあります。
人数の多い町は「紅組・白組」のように組を分けて、同じ時間に別々の通りを回ることもあります。

どうやって見つける?

庭先回りは決まった会場がないぶん、「どこに行けば会えるか」を知るのがコツです。

方法 どう使うか
庭先回りマップ(予定表) 9月末ごろ、振興会のホームページに3日間の予定と地図が載ります。長崎駅の観光案内所、バスターミナルなどでも配られます
長崎くんちナビ スマートフォンで、各踊町が今どこにいるかを地図で見られます
踊町の Instagram など 町や保存会が、当日の様子や居場所を発信していることがあります
しゃぎりの音 笛と太鼓の「しゃぎり」が聞こえてきたら、近くに踊町がいます
人だかり 通りの先に人が集まっていたら、たいてい呈上の最中です

予定表に書いてある時刻は目安です。
振興会の予定表にも、天気や道の混みぐあい、順延などで予定が変わることがある、と書かれています。
また、予定表に載っている建物の名前は「通り道の目印」として書かれているだけのものもあり、そこで必ず演し物があるとは限りません。

おすすめは、予定表で「だいたいこの通り」と当たりをつけ、くんちナビで今の位置を確かめ、最後は耳(しゃぎりの音)で探す、という3段がまえです。
長崎駅前のかもめ広場や湊公園のような広い場所では、本場所に負けない盛り上がりになることもあります。

見るときのマナー

庭先回りの主役は、演し物を受ける家やお店(呈上先)と、踊町の人たちです。
見物する人は「お邪魔している」気持ちで楽しみましょう。

  • 店先や玄関の前をふさがない。 呈上先の人が出てこられる場所をあけておきます
  • 道路に広がらない。 庭先回りは普段の道で行われます。車や路面電車、ほかの歩行者に気をつけ、踊町の世話役や警備の人の指示に従います
  • 演し物に近づきすぎない。 船や太鼓山、龍は大きく動きます。回る傘鉾や曳物の前には出ないようにします
  • 場所取りをしない。 決まった観覧席はありません。シートを敷いたり、物を置いて場所をとったりするのはやめましょう
  • 写真は、まわりの迷惑にならない範囲で。 列の中に入って撮る、自撮り棒を高く掲げる、演者の進路で立ち止まる、といったことは避けます。踊りには子どもも出ているので、SNSにのせるときは顔の写り方に気を配ると安心です
  • 追いかけるときは走らない。 次の場所へ移る踊町を追うときも、人混みでは歩いて

掛け声「ショモーヤレ」「モッテコーイ」と所望

くんちは、見る人が声をかけて一緒に盛り上がる祭りです。
庭先回りでも、演し物が終わると見物の人から掛け声が飛びます。

掛け声 意味 いつ使うか
ショモーヤレ 「所望するから、もう一つやれ」 本踊が終わったとき。アンコールの声
モッテコーイ 「もう一度持ってこい」 船や太鼓山など、いったん下がった演し物を呼び戻すとき
フトーマワレ 「大きく回れ」(長崎では大きいことを「太い」と言う) 傘鉾が回るとき
ヨイヤ 「やった」 川船の投網が決まったとき、傘鉾が見事に回ったときなど

「所望(しょもう)」は「ぜひにと望む」という意味の言葉です。
ショモーヤレは、その所望をくだけて言ったもので、「もっと見たい」というほめ言葉でもあります。

使い方のコツは、演し物が終わったときに、まわりと声をそろえてかけることです。
最初は地元の人の声に続けばだいじょうぶです。
演技の最中に大声を出したり、ふざけてくり返したりするのは避けましょう。

庭見せ・人数揃いとの違い

庭見せ:町に衣装や道具を飾って見せる

庭見せ:町に衣装や道具を飾って見せる(写真:運営者)

庭見せの日、町に「庭」がしつらえられる

庭見せの日、町に「庭」がしつらえられる(写真:運営者)

御花の飾りに添えられた氷の彫刻

御花の飾りに添えられた氷の彫刻(写真:運営者)

龍踊の町の庭見せ。青龍と白龍が並ぶ

龍踊の町の庭見せ。
青龍と白龍が並ぶ(写真:運営者)

アーケードに飾られた川船(庭見せ)

アーケードに飾られた川船(庭見せ)(写真:運営者)

くんちには、本番の前にも「見せる」行事があります。
名前が似ていて迷いやすいので、並べてみます。

行事 日 どこで なにをする
庭見せ(庭見世) 10月3日の夕方から 踊町の中 町が家や会場を開け、傘鉾・衣装・道具などを道行く人に見せる
人数揃い(にんぞろい) 10月4日 踊町の中の数か所 本番と同じ衣装で演し物を披露する、本番前のおひろめ(リハーサル)
庭先回り 10月7〜9日 町の外も含む市の中心部 事業所や家々を訪ね、短い演し物を呈上する

庭見せと人数揃いは「本番前に、町の中で準備の仕上がりを見せる」もの。
庭先回りは「本番中に、町の外へ出てお祝いを届ける」もの、と覚えると分かりやすいです。

お店や会社に来てもらうには

庭先回りの呈上先は、踊町があらかじめ調べて決めています。
踊町の帳面方(ちょうめんかた・記録や会計の係)が、7年前の記録「庭先帳」をもとに、回る先を確かめておくのが習わしです。

当日の流れは、だいたい次のとおりです。

  1. 踊町の先触れ(さきぶれ)の人が「呈上札(ていじょうふだ)」を届け、「まもなくうかがいます」とあいさつする。札には「踊呈上」「川船呈上」「龍踊呈上」などと書いてある
  2. 受けた側は「花紙(はながみ)」に住所と名前を書いて用意しておく
  3. 演し物を受けたら、その場では花紙を世話役に渡すだけにする
  4. くんちが終わったあと、町事務所へ御花(のし袋)を届ける
  5. 後日、踊町が「花御礼(はなおれい)」の札を持ってお礼に回ってくる

つまり庭先回りは、御花とひと組になったしくみです。
新しく長崎にお店や事務所を出した、転勤でしきたりが分からない、という場合は、その年の踊町や振興会に早めに相談してみるのが確実です。
御花の包み方や届け方、金額の考え方は、別の記事「御花の出し方」でくわしく説明しています。

よくある質問

庭先回りを見るのにお金はかかりますか?

かかりません。
通りで行われるので、チケットや予約もいりません。
見物の人が御花を出す必要もありません。

本場所で見られる技は、庭先回りでも見られますか?

短く組み直した演し物になることが多いです。
町によっては、大技は本場所でしか見られない、と案内しているところもあります。

何時ごろが見やすいですか?

朝から夜まで回っていますが、本場所の時間は街にいません。
予定表で本場所の時刻を確かめ、そのあいだの時間帯をねらうと会いやすいです。

雨の日はどうなりますか?

雨で本場所の奉納が順延になると、庭先回りの予定も変わります。
2023年は8日が雨で、庭先回りを取りやめた町と、アーケードを中心に回った町がありました。
当日は振興会や町の発信を確かめてください。

掛け声は観光客がかけてもいいですか?

もちろんです。
演し物が終わったときに、まわりの人に合わせて「ショモーヤレ」「モッテコーイ」と声をかけると喜ばれます。

自分の家の前に来てもらうことはできますか?

呈上先は踊町が決めて回っています。
希望がある場合は、その年の踊町の町事務所か振興会に相談してみてください。
来てもらったら、あとで御花を届けるのがしきたりです。

子ども連れでも楽しめますか?

楽しめます。
ただし人混みになることが多いので、演し物に近づきすぎないよう、手をつないで見てください。

呈上札や花紙がなくても、演し物を受けてよいのですか?

当日は踊町の人が札を届けて声をかけてくれます。
花紙の用意が間に合わないときは、その場で世話役の人に相談すれば大丈夫です。

参考にした情報