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くんちを支える人たち ― 傘鉾持ち・シャギリ・根曳から長坂の白トッポまで

更新:2026年10月10日

長崎くんちで目に入るのは、踊り手や船を曳く根曳(ねびき)の姿です。
けれど、その奉納は、町の外から毎年来る傘鉾持ちやシャギリの人たち、指揮をとる長采(ながざい)、長坂を盛り上げる組、神輿を担ぐ町の人など、たくさんの「支える人」でできあがっています。
だれが、どこで、何をしているのかを順に紹介します。

この記事は、運営者が内容を確かめている途中の下書きです。町や家によって違う作法・金額などは、確かめたうえで直していきます。

ひと目で分かる「支える人」の一覧

くんちに関わる人は、大きく「踊町(おどっちょう)の人」と「踊町の外から加わる人」に分かれます。
踊町とは、その年に奉納踊を出す当番の町のことで、7年に一度、順番が回ってきます。

呼び名 どこの人か おもな役目
傘鉾持ち(かさぼこもち) 長崎の郊外の組。踊町から毎年頼まれる 町の印・傘鉾を一人で担ぎ、回す
シャギリ 東長崎の保存会 笛と締太鼓の囃子(はやし)
根曳・添根曳・長采 踊町 船などの曳物(ひきもの)を動かす・指揮する
担ぎ手・采振り 踊町 コッコデショなどの担ぎ物を担ぐ・合図する
地方(じかた)・師匠 踊町や、踊町が頼む芸の世界の人 本踊の音楽と、踊りの指導
長坂連(白トッポ組) 長坂に陣取る組 掛け声で客席を引っぱる
八坂連 八坂神社の氏子町(毎年交代) 八坂神社の警備と盛り上げ
神輿守町・年番町 決まった順番で回ってくる町 神輿を担ぐ・祭り全体の世話
さじき運営委員会など 会場ごとの運営団体 観覧席の用意と運営

傘鉾持ち ― 100kgを超える町の印を、一人で回す

傘鉾(かさぼこ)は、踊町の行列の先頭に立つ町のシンボルです。
傘の上に飾り(だし)、まわりに輪(わ)、その下に垂れ(たれ)を付けた形で、重さは100kgを超え、重いものは130〜150kgほどになるといわれます。

これを担ぐのは踊町の人ではありません。
長崎の郊外に本拠を置く専門の組で、昔は近郊の力自慢の人たちが務めていました。
いまは6つの組があり、踊町から毎年頼まれて担ぎます。
7年に一度の踊町と違い、毎年どこかの町の傘鉾を持つ人たちです。

一人で持つしくみ

  • 心棒(しんぼう)の上の横木を利き肩に当て、下の横木を反対の手で握って担ぎます。肩には布団を巻いて当てます
  • 上が重いままでは倒れるため、心棒の下に一文銭(いちもんせん)を2,500〜3,000枚ほど結び付けて、上下の釣り合いをとります
  • 前が見えにくい持ち手を、旗を振って導く「紗ふり(しゃふり)」という役もあります

回し方 諏訪神社では、最初の数回は神様に見ていただく儀式の舞で、鈴を鳴らしながら進み、ゆっくり回します。
そのあとは観客の求めに応える舞になり、組ごとに受け継いだ技を見せます。
観客は「フトーマワレ(大きく回れ)」と声をかけ、きれいに決まると「ヨイヤー(よくやった)」と返します。
房や注連縄(しめなわ)が一直線に広がるほど勢いよく回すのが見どころです。

シャギリ ― くんちの音をつくる囃子方

シャギリは、笛と締太鼓(しめだいこ)だけで奏でる、くんちの囃子です。
少しもの悲しい独特の旋律で、長崎の人はこの音を聞くと「くんちが来た」と感じるといわれます。

演奏するのは踊町ではなく、東長崎の地区でつくる長崎シャギリ保存会です。
長崎県の無形民俗文化財にも指定されています。

項目 内容
人数 1つの踊町につき7人(笛5人・締太鼓2人)。移動のときは笛3人と、太鼓を担ぐ人・打つ人
おもな曲 道中(行列が移動するとき)、諏訪入(奉納や傘鉾の奉納のとき)、片シャギリ(「モッテコーイ」の掛け声のとき)
聞ける場所 諏訪神社・八坂神社・お旅所・中央公園の踊り場、町の中の移動、小屋入りや打込みの日

2023年の報道では、20代から70代までの約50人が出演し、夏から毎日のように稽古を重ねていると紹介されています。

根曳・添根曳・長采・采振り ― 曳物と担ぎ物を動かすチーム

船を回す根曳(本石灰町・2023年)

船を回す根曳(本石灰町・2023年)(写真:運営者)

息を合わせて船を押す

息を合わせて船を押す(写真:運営者)

船の形をした川船や御座船(ござぶね)などの曳物は、重さが何トンにもなります。
これを動かすのが踊町のチームです。

役 読み 役目
根曳 ねびき 船を曳き、回す若い衆。龍踊の町では「龍衆(じゃしゅう)」と呼ぶ
添根曳 そえねびき 船の周りに付き、采(さい)を振って前進・後退・回しの合図と調整をする
長采 ながざい ひときわ長い采を持つ、曳物の総指揮役。とても名誉ある役とされる

2003年のナガジンでは、添根曳は船の周りに4人いて、直接は曳かずに采で合図を出す、と紹介されています。
根曳を何度か務めたあとに添根曳、さらに長采へ、という流れで経験を積むと説明する人もいます。

コッコデショ(太鼓山)や鯱太鼓(しゃちだいこ)のような担ぎ物では、大勢の担ぎ手が肩で担ぎ、空へ放り上げて受け止めます。
担ぎ棒の上に乗って大きく采を振る「采振り」は、担ぎ物の顔ともいえる役です。

役の呼び名や人数は、町や演し物によって違います。

地方と師匠 ― 本踊を支える音と稽古

本踊(ほんおどり)は日本舞踊の演し物です。
日本舞踊では、踊る人を「立方(たちかた)」、唄や三味線を受け持つ人を「地方(じかた)」と呼びます。

本踊は踊町の人が踊るのが基本ですが、町の中で人がそろわないときは、長崎の検番(けんばん。芸妓さんの組合)に頼むこともあります。
踊りの振り付けや稽古は、日本舞踊の師匠が受け持ちます。
6月1日の小屋入りから稽古が始まり、8月・9月に本格的に仕上げていきます。

白トッポ(長坂連) ― 長坂を盛り上げる名物の組

諏訪神社の踊り場を正面から見下ろす石段、長坂(ながさか)は、73段ある無料の観覧席です。
ここに、白い法被を着て陣取るのが「長坂連白トッポ組」です。
白ドッポとも呼ばれます。

  • 名前の由来:「長坂」と書かれた、白いトッポ袖(筒袖)の法被を着ていることから
  • 何をするか:奉納の始まりに観客へ掛け声の掛け方を教え、「モッテコーイ」「ショモーヤレ」の声を先導します。アンコールに応えずに下がろうとする踊町に掛け合い、踊り場へ呼び戻すこともあります
  • マナーの番人:神様への奉納を帽子をかぶったまま見る人には、注意の声がかかります
  • 出番のない年:2023年の報道では、メンバーが庭先回りで踊町が集まる湊公園の警備を受け持ったことが紹介されています

長坂に白トッポが登場したのは、昭和34年(1959年)ごろからといわれます。

八坂連 ― 八坂神社を守り、盛り上げる町の人たち

くんちの3日間、諏訪神社の長坂だけでなく、八坂神社でも奉納が行われます。
そこで、八坂神社の氏子町(うじこまち)が毎年交代で、境内の警備をしたり、会場を盛り上げたりしています。
これが八坂連(やさかれん)です。

白トッポが長坂の名物なら、八坂連は八坂神社の場を支える人たちです。
踊町の演し物がきちんと奉納できるよう、見えないところで動いています。

(八坂連のくわしい成り立ちや、どの町が受け持つかは、確かめたうえで書き足します。)

神輿を担ぐ町、祭りを回す町 ― 神輿守町と年番町

くんちは、もともと諏訪神社のお祭りです。
10月7日の「お下り」で、諏訪・森崎・住吉の神様を乗せた3基の神輿が、大波止のお旅所へ下ります。
9日の「お上り」で神社に戻ります。

  • 神輿守町(みこしもりちょう):神輿を担ぐ、旧長崎村の各郷の人たち。6年で一巡します。2026年は伊良林神輿守町連合会が務めました。神輿をかついだまま坂を全力で駆ける「もりこみ」は大きな見どころです
  • 年番町(ねんばんちょう):踊町を務めた4年後に回ってくる世話役の町です。氏子の代表として、踊り場の運営や、お下り・お上りのお供など、1年間の神事を支えます

それぞれの町が何をするのかは、別の記事「町の役割」で詳しく紹介します。

会場を整える人、出番のない年に支える人

観覧席の運営 桟敷(さじき)席は、会場ごとに運営する団体が違います。

会場 運営
諏訪神社 諏訪神社くんち踊馬場さじき運営委員会
お旅所 お旅所さじき運営委員会
八坂神社 八坂神社さじき運営委員会
中央公園 長崎伝統芸能振興会

長崎伝統芸能振興会は長崎商工会議所の中に事務局を置き、中央公園の踊り場の運営や、くんちの振興に取り組んでいます。

警備や見守り 人が集まる場所では、警備や誘導をする人たちが動いています。
先に紹介した白トッポ組のように、くんちに縁のある人が会場の警備に回ることもあります。

踊町でない年も、くんちは続く 踊町の当番は7年に一度ですが、町の人がくんちから離れるわけではありません。
4年後には年番町が回ってきます。
傘鉾持ちとシャギリの人たちは、毎年どこかの町のために出ます。
関わり方は町によって違うので、手伝いたいときは、自分の町の自治会や、知り合いのいる踊町の世話役に聞くのが確実です。

よくある質問

傘鉾は、その町の人が担いでいるのではないのですか?

いいえ。
郊外にある傘鉾持ちの専門の組が、踊町から頼まれて担いでいます。
毎年いずれかの町の傘鉾を持つので、技が途切れずに受け継がれています。

シャギリはどこで聞けますか?

10月7〜9日の諏訪神社・八坂神社・お旅所・中央公園の踊り場や、踊町が町を移動するときに聞けます。
6月1日の小屋入りの日にも町の中で鳴ります。

長坂で、帽子をかぶって見てもいいですか?

神様への奉納を見る場なので、帽子は取るのがマナーです。
日よけには、踊町がまく手ぬぐい(まきもの)を頭に巻く方法があります。

白トッポの人たちは怖くないですか?

掛け声を先導し、長坂の客席を一つにまとめる応援役です。
掛け声のタイミングが分からなければ、まわりに合わせて声を出せば大丈夫です。

根曳や担ぎ手には、だれでもなれますか?

多くは踊町に住む人や、町と縁のある人が務めます。
募集のしかたや条件は町ごとに違うので、その町の自治会や世話役に聞いてください。

踊町でない町に住んでいても、くんちに関われますか?

関われます。
庭先回りを迎える、観覧席で掛け声をかける、御花(おはな)でお祝いする、なども立派な応援です。
町の役として関わりたいときは、自分の町の自治会に聞くのが近道です。

県外から来た会社として、何か支えられることはありますか?

庭先回りでは、町の事業所や官公庁の前でも踊りが披露されます。
迎え方や御花の出し方は、別の記事で詳しく紹介しています。
地元の取引先や商工会議所に相談するのも一つの方法です。

参考にした情報