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庭見せ(にわみせ)の楽しみ方 ― 本番の4日前、踊町が晴れの支度を見せる夜

更新:2026年10月10日

毎年10月3日の夕方、その年の踊町(おどっちょう)は、本番で使う傘鉾や衣装、船や龍、届いたお祝いの品を町の中に飾って、道行く人に見せてくれます。
これが「庭見せ」です。
無料で、すぐ目の前で、くんちの準備の仕上がりに出会える夜の楽しみ方を、意味・場所・見どころ・回り方・マナーの順にまとめました。

この記事は、運営者が内容を確かめている途中の下書きです。町や家によって違う作法・金額などは、確かめたうえで直していきます。

庭見せとは

庭見せ(にわみせ)は、長崎くんちの本番(10月7〜9日)を前に、その年の当番の町=踊町(おどっちょう)が、奉納の支度がととのったことを町の内外に披露する行事です。
毎年10月3日の夕方から夜にかけて行われます。

長崎伝統芸能振興会のミニ辞典では、もともとは踊町の家々が表の格子をはずし、木戸口を開けて、家の中や庭を道行く人に見せるものだったと説明しています。
振興会のコラムによると、昔は家に代々伝わる屏風(びょうぶ)や掛け軸、調度品も並べたそうです。
「庭を見せる」から庭見せ、というわけです。

いまは長崎らしい町屋や庭のある家が少なくなり、店先やビルの一角、ガレージ、公園などに町で集まって飾ることが増えました。
それでも、町の紋を染め抜いた幔幕(まんまく)を張り、晴れの道具を並べて見てもらう、という心は変わりません。

表記について 長崎伝統芸能振興会や長崎市は「庭見世」、長崎新聞などは「庭見せ」と書くことが多く、どちらも同じ行事です。
この記事では「庭見せ」と書きます。

いつ・どこで見られる?

項目 内容
日 毎年10月3日(曜日にかかわらず同じ日)
時間 夕方から夜まで。振興会の一覧表では、多くの町が17時、一部の町は18時に始まります。2026年の報道では、21時半ごろまで見られる所もあるとされていました
場所 その年の踊町の中や近く。町ごとに数か所に分けて飾ることもあります
料金 無料。予約もいりません

踊町は7つの組で毎年入れ替わるので、飾られる場所も毎年変わります。
調べ方は次のとおりです。

方法 どう使うか
振興会の「庭見世一覧表」 9月下旬ごろ、長崎伝統芸能振興会のホームページに、町ごとの展示場所・住所・展示物・始まる時刻が載ります
テレビ・新聞のニュース 10月3日の当日や前日に、各町の展示場所を紹介する報道があります
踊町の Instagram など 町や保存会が、場所や当日の様子を発信していることがあります
しゃぎりの音と人だかり 近くまで来たら、笛と太鼓の音、幔幕、人の列が目印です

参考までに、2026年は6つの踊町が次のような場所に飾りました(報道による)。

踊町 主な場所 主な展示
今籠町 浜勝 長崎総本店、崇福寺 衣装、傘鉾
油屋町 川船の格納庫、町内の建物 川船、刺繍の衣装
元船町 プラタナス広場など 唐人船、衣装、小道具
上町 長崎歴史文化博物館 新調の山車(コッコデショ)、傘鉾、衣装
鍛冶屋町 たちばな信用金庫、町内の店 寳船、七福神の衣装
筑後町 ホテルセントヒル長崎 3体の龍、傘鉾、楽器

何が見られる?

庭見せの楽しさは、本番では動いていてじっくり見られないものを、止まった状態で、間近で見られることです。

衣装と道具

庭見せに飾られた演し物の衣装(本石灰町・2023年)

庭見せに飾られた演し物の衣装(本石灰町・2023年)(写真:運営者)

金屏風の前に並ぶ衣装(2024年)

金屏風の前に並ぶ衣装(2024年)(写真:運営者)

本番で着る衣装、踊りに使う扇や小道具、しゃぎりや囃子(はやし)の楽器が並びます。
長崎刺繍(ししゅう)の衣装は、近くで見ると糸の重なりや金糸の光り方まで分かります。
その年に新しく作った「新調」の衣装や道具が初めてお披露目されることも多く、町の人にとっても晴れの日です。

町のしるしとして行列の先頭に立つ傘鉾(かさぼこ)も、ここでは止まって飾られます。
上の飾り(出し)、縁の輪、下に垂れる布(垂れ)を、ゆっくり見比べられます。
町によっては、古くて大切な垂れを庭見せでだけ公開することもあります。

御花が並ぶ

庭見せの席にずらりと並ぶ御花

庭見せの席にずらりと並ぶ御花(写真:運営者)

積み上がる御花の箱(2025年)

積み上がる御花の箱(2025年)(写真:運営者)

踊町の人たちに届いたお祝いの品=御花(おはな)も、ところ狭しと並べられます。
お酒や反物、贈り主の名前を書いたものなどが並び、その町がどれだけの人に応援されているかが伝わってきます。

縁起物として、宗和台(そうわだい)という台に柿や栗、桃饅頭(ももまんじゅう)を盛って飾る習わしもあります。

ただし、振興会のコラムは「庭見せは御花を並べて見せる会ではない」という趣旨のことも書いています。
場所が限られるため、個人から届いた御花は飾らないと申し合わせている町もあります。

氷の彫刻

御花に添えられた氷の彫刻(本石灰町・2023年)

御花に添えられた氷の彫刻(本石灰町・2023年)(写真:運営者)

紅葉と「花」の字を閉じ込めた氷(2023年)

紅葉と「花」の字を閉じ込めた氷(2023年)(写真:運営者)

会場によっては、お祝いの気持ちを込めた氷の彫刻が飾られることもあります。
夜の明かりに照らされた氷は、ほかの飾りとはまた違う涼しげな美しさです。
時間がたつと溶けていくので、早めの時間に見ておくのがおすすめです。

町に「庭」をしつらえる

町の一角にしつらえられた「庭」(本石灰町・2023年)

町の一角にしつらえられた「庭」(本石灰町・2023年)(写真:運営者)

灯籠の明かりがともる夜の庭

灯籠の明かりがともる夜の庭(写真:運営者)

「庭を見せる」という名前のとおり、展示の場所に庭の景色をしつらえる町もあります。
2025年には、竹や笹を使って会場に庭を作り、上品な雰囲気を出した町がありました。
幔幕、屏風、毛氈(もうせん・赤い敷物)、照明の当て方まで、町ごとに工夫が違います。
演し物の道具だけでなく、どう見せているかに目を向けると、庭見せはぐっと面白くなります。

龍や船も町に飾られる

龍踊の町の庭見せ。青龍と白龍が並ぶ(2024年)

龍踊の町の庭見せ。
青龍と白龍が並ぶ(2024年)(写真:運営者)

アーケードに飾られた榎津町の川船(2025年)

アーケードに飾られた榎津町の川船(2025年)(写真:運営者)

庭見せに飾られた龍(2025年)

庭見せに飾られた龍(2025年)(写真:運営者)

曳物(ひきもの・船などを曳く演し物)や担ぎ物(かつぎもの)も、町の中に据えられます。
重さ数トンの船、長さ約20メートルの龍が、ふだんの通りや広場、ホテルのロビーに現れる光景は、庭見せならではです。
2025年には、龍踊の町で青龍と白龍が胴を折り重ねた姿で飾られ、下から当てた明かりで顔が引き立って見えた、と報じられました。
船の飾りや龍の鱗(うろこ)、目の細工など、本番では一瞬で過ぎてしまう所をじっくり見られます。

回り方のコツ

コツ 内容
早めに出る 始まってすぐの17時台は、まだ明るさが残り、比較的ゆっくり見られることが多いようです。仕事帰りの人が増える夜は混み合います
歩いて回る 踊町は中心部に集まっていることが多く、歩いて回れる距離です。車で行くより、路面電車と徒歩が便利です
地図で順を決める 一覧表の住所を地図に落とし、近い順に回ると効率がよくなります。1つの町が数か所に分けて飾ることもあるので、町ごとに全部の場所を確かめます
列を見たら並ぶ 人気の会場では入口に列ができます。2024年には、会場に入るまで20分以上かかった所もありました
夜の明かりを楽しむ 暗くなると、照明に浮かぶ傘鉾や船、龍が昼とは違う表情になります
天気を確かめる 雨の日も行われることがありますが、扱いは町によって違います。振興会の一覧表でも、雨のときのことは各踊町に問い合わせるよう書かれています

会場によっては、町の人がお酒をふるまったり、記念の品を売ったりしていることもあります。
町の人に「きれいですね」と声をかけると、衣装や道具のいわれを教えてもらえることもあります。

年によっては、観光の団体がガイド付きで庭見せを回るまち歩きを用意していることもあります。
初めてなら、こうした案内を使うのも一つの方法です。

御花との関係

くんちでは、お祝いもお礼もすべて「御花」と呼びます。
踊町に出演のお祝いを贈る場合、庭見せ(10月3日)より前に渡すことが多いようです。
届いた品は、庭見せで傘鉾や衣装と一緒に披露されることがあります。

つまり庭見せは、「これだけの人に支えられて、支度ができました」と町が感謝を込めて見せる場でもあります。
並んだ御花を眺めると、くんちが町の人だけでなく、まわりの家や店、会社に支えられていることが分かります。

御花の包み方や渡し方、金額の考え方は、別の記事「御花の出し方」でくわしく説明しています。

人数揃い・庭先回りとの違い

庭見せと名前の似た行事、時期の近い行事を並べてみます。

行事 日 どこで なにをする
庭見せ(庭見世) 10月3日の夕方から夜 踊町の中や近く 道具・衣装・届いた御花などを飾って見せる。踊りはない
人数揃い(にいぞろい) 10月4日 踊町の中の数か所 本番と同じ衣装で、演し物を通して披露する。本番前の仕上げのおひろめ
庭先回り 10月7〜9日 町の外も含む市の中心部 事業所や家々を訪ね、短い演し物を呈上する

庭見せは「止まった道具を見る夜」、人数揃いは「動く演し物を初めて見る日」、庭先回りは「本番中に街でお祝いを届ける」もの、と覚えると分かりやすいです。
庭先回りについては、別の記事「庭先回りの楽しみ方」でくわしく説明しています。

見るときのマナー

庭見せの会場は、町の人の家やお店、事務所であることが多い場所です。
「おうちを見せていただいている」気持ちで楽しみましょう。

  • 飾りに触れない。 衣装や傘鉾、船、龍は、町が何年もかけて受け継ぎ、手入れしてきたものです。柵や線の内側には入りません
  • 写真は、まわりの迷惑にならない範囲で。 撮影できるかどうかは会場によって違います。「撮影はご遠慮ください」とあれば従い、迷ったら町の人にひと声かけます。三脚や長い自撮り棒は、狭い会場では使わないようにしましょう
  • 店の営業をじゃましない。 会場がお店の場合、ふだんの営業もしています。入口をふさがない、列の外で立ち話をしない、といった気配りをします
  • 列に並び、流れに沿って見る。 一か所で長く立ち止まらず、後ろの人にも見る順番をまわします
  • 道に広がらない。 会場の前の通りは、車や路面電車も通ります。夜は暗いので、子ども連れの人は手をつないで
  • 子どもの写真に気を配る。 写真をSNSにのせるときは、町の子どもの顔の写り方に気をつけると安心です

よくある質問

庭見せを見るのにお金はかかりますか?

かかりません。
予約もいりません。
見るだけなら御花を出す必要もありません。

何時ごろに行くのがよいですか?

多くの町は17時ごろに始まります。
ゆっくり見たいなら始まってすぐ、明かりに浮かぶ雰囲気を楽しみたいなら暗くなってから、と目的で決めるとよいでしょう。
終わる時刻は町や会場で違うので、遅い時間に行くときは早めに確かめてください。

どの町がどこで飾っているか、どうやって調べますか?

長崎伝統芸能振興会のホームページに、9月下旬ごろ「庭見世一覧表」が載ります。
町ごとの場所・住所・展示物・始まる時刻が分かります。

踊りは見られますか?

庭見せは飾りを見せる行事なので、基本的に踊りはありません。
本番と同じ衣装で演し物を見たいなら、翌日10月4日の人数揃いがおすすめです。

雨の日はどうなりますか?

雨の中でも行われた年があります。
ただ、雨のときの扱いは町によって違うため、振興会の一覧表に載っている各踊町の連絡先や、町の発信を確かめてください。

写真を撮ってもいいですか?

撮影してよい会場が多いようですが、会場ごとの決まりに従ってください。
撮るときは列の流れを止めないようにし、ほかの人の顔が大きく写らないよう気を配りましょう。

子ども連れでも楽しめますか?

楽しめます。
龍や船を間近で見られるので、子どもにも人気です。
夜は人が多く暗いので、手をつないで回ってください。

地元の人でなくても入っていいのですか?

もちろんです。
庭見せは、もともと道行く人に見てもらうための行事です。
観光の人も、長崎に来たばかりの人も、気軽に立ち寄ってください。

参考にした情報